〜大切な話〜


彼は・・・
見慣れた彼は、私の方を見るなり
今まで見たことのない優しい顔で笑った

ポケットだ

私は、彼の笑顔を見るなり、ほっとため息をついた
しかし、すぐに、はっ!と気付く


た、タキオンは??プレイスは??彼らは・・・彼らは大丈夫なんですか!
と、尋ねる

彼は、その質問の答えを用意してあったとは思うが
少し考えてから

あいつらは、大丈夫だ。あんな2人も、そう簡単にはくたばったりする様な奴じゃない


心配は心配・・・
だけど、ポケットが言うのだから、信用すればいいと思う

は〜い♪人の心配する前に、まずは自分の心配を〜☆
と。
ラティアスは私に、布団をかけなおして寝かせた

何から何まで、ありがとうございます。ラティアスさん?えっと・・・お名前聞いてなかったっけ・・・?

名前?あたしの名前かぁ〜、なんだろ?ん〜何でもいっかなぁ(をい)ま、ラティでいいよ!気軽に!
と、ラティは言う

名前がない。まぁ、トレーナーのポケモンでなければ、名前がなくても
別に困ることではないが、それでも、ポケモン通しの呼び名くらいあってもいいものだと・・・



知らぬ間に月光が見える。ちょっと外を眺めた
月の光の間に見えるのは、ポケットだった


「ポケット・・・」
「なんだ?」
「いや、・・・やっぱりタキオンが・・・」
「心配、か。そうか、そうだよな・・・すまないが、実の所私も少しは、な」
「・・・タキオン・・・プレイス・・・・・・」
「・・・ん〜、こんな時ですまないが、大切な話だ。お前は・・・恋をしているか?」
「はい??(照)・・・・・・・」
「私は心を読むことが、下手なんだが・・・まぁ、解る」
「・・・・・は、はぁ・・・・」
「お前が好きなのはタキオンだ、という事も解る」
「・・・・・は、はい・・・・」
「・・・・・・・ふぅ」
「ポケット?」
「あぁ、月が綺麗だ・・・」
「?どういうこ・・・」

ポケットが私を抱きしめた

「まるで、お前のように・・・綺麗だ・・・・」
「ちょちょちょっと、ポケット・・・」

「悪いが、私の恋の矢はお前に向けられた」
「・・・・ポケ、ット」
「今だけでいい!今だけで・・・お前の気持ちも考えずに・・・私は・・・・」
「ポケット・・・・どうして、泣いてr」
「ビコ・・・・・好きだビコ!好きなのに、どうして・・・泣かなきゃいけないんだ・・・・・」
「ポケット・・・・ポケット?」
「ビコ、俺の最後のお願いだ・・・」
「?最後って、どうして最g」

また言いかけてるときに
彼は、涙のキッス☆をした

彼のキス、初めは動揺したが、すぐに慣れた
私も彼との口付を許した、そして、彼との恋に酔う

ひと時の愛、彼にはわかっていた

彼は急に、私から一歩離れて
「今、すぐに、答えは言わないでくれ・・・今更、私には答えは必要としない」
「?さっきから、私には、よく意味が解らないんですが・・・」
「解らなくていい。そのうち解るから・・・・先戻っていてくれ、それと、あいつらを起こしておいてくれ・・・」
「何故です?こんな夜中に・・・」
「危険・・・少し未来予知ができるから解る、危険が迫っている」
「危険・・・ですか?」
彼の言葉に、つばを飲む
「ちょっと、見回ってくる、後は任せたからな・・・ビコ」
「えっ・・・あ、はい」

「幸せに・・なれよっ!!」


この時は私には解らなかった、この後起こる惨劇を
この時ポケットは解っていた、後の自分の運命を・・・



〜死の晩餐〜


待たせたな・・・ここには、俺とお前しかいない
あいつらには、私が指一本触れさせん!ここで、お前を倒す

きゃっはははぁーーー、何今更言ってんの??馬鹿じゃねーのか!
さっきの、お前が死ぬ前にやっておきたい事、だったんじゃねぇーのか?

私はビコと話をしている途中から、隠している殺気を感じ取った
そん所そこらの野生ポケモンとは比べ物にならない殺気を
その正体は、サーナイトだった
奴はまるで、地の味を知っているような飢えた眼をしている
そして、一番の光り物は、腰に備わっている刀

お前、これに興味あんのか?あぁ、いいぜ!これ使ってやるよっ!刀に見とれている場合じゃぁねーけどな

見とれる??はっ、誰がそんなこと・・・私のおしゃべりはもう結構だ。さぁ、始めるとするか・・・
このポケット、守るべきあいつらの為に、命がけで戦ってみs

シュン

いきなり奴は私の視界から消えた。背後から、彼の声が聞こえると共に
私の左肩から、左手の感覚が消えた

ああぁ?ごちゃごちゃうるせぇ〜っつーの!!やるならさっさと始めようぜ
「死の晩餐」ってもんをよぉ・・・

!!!!

奴の刀がうなる!まるで、血を欲しがっているかのように


〜真夏の夜の悪夢〜


私は、ポケットに言われた通り、戻って、パステルとラティを起こした

なぁにぃ〜?ビコたん??もう朝ごはん??〜(_ _)zzz...

ビコたん、いくら自分が昼の間寝ていたからって、あたしと夜遊びしたいの??ん〜、まぁいいかも!!

一人は寝ぼけてて、一人は天然で(をい)、起こすのに苦労したが
二人に状況を離したが、案外テキトーに納得していた
万が一あってもすぐに、この場を立ち去れる用意を準備した

ポケットを待ちましょう!!彼が来たら、すぐにでもこの場を離れられるよう・・・


じゃぁ、お前達は一生ここから動けないってワケかぁ〜可哀想にねぇ〜惨めだねぇ〜


不意に後ろには、一人のサーナイトがいた
彼の手には、まだ新鮮といえる血がついた刀が握られている



「あなたは・・・誰なの?」
「俺かぁ?俺の名は、スティンガー!地空型ミサイルこと刺し屋(はっ?)!!」
「刺し屋・・・」
「見本が見たいか?みせてやるよ、見せてやるよ!魅せてやるよ!!!!!」
「ビコしゃん、怖い!パス、怖いよぉ!!」「ビコたん〜あたしも怖い、怖いよ怖いよ怖いよ怖いよ・・・」

私の後ろに2人はしっかりと、くっついて泣いている
2人からは、恐怖の震えを通じて、先程までの雰囲気はこれっぽっちも感じられない
ただ目の前にいる殺し屋に、怖がって怖がって、それでも怖がって・・・

「ぎゃはははっーー、いいねぇ!いいねぇ!!その脅え!!なんなら、もっと怖くしてあげ、あげようかっ!!!!」
彼の刀がうなる、私の身体が支えきれなくなる、2人の悲鳴はいっそう高くなる

「きゃぁっっっーーーーーーーーーーーーー!!!!」
恐怖に耐え切れず、ラティが飛び出す
彼は、彼女には手裏剣らしき物を放つ
羽(らしき)の付け根に刺さり、彼女はばたりと落ちて、動かなかった
恐怖いっぱいで、動けなかった

パステルは、倒れこんだ2人を見、力なく膝をついた
そのパステルには、あの刀が向けられる

「きゃっはははー、全く!地獄をしらないお嬢様は、これだから・・・俺が地獄を教えてやるよ!!ひゃははははっ!!!」
そう言って、彼女の顔、手、足など数箇所に切り傷を与え始めた
「痛い・・・痛いよぉ・・・・やめてよ・・・・いやっ、やめて・・・・・・あぁ!・・・・い、たい・・・から・・・・」
「そうか痛いか?なら泣き叫べ!喚きたいだけ喚け!俺の刀が喜んでるぜ!!俺の刀は、悲鳴を聞くのがお趣味〜♪」
「いやぁーーーーーやめて・・・・いっ・・・・・・うっぐ、えっぐ・・うううぅぅぅ・・・・・」
「血交じりの涙なんて、美しい!実に美しい!!お前、いま、実に美しいぞ!!ぎゃはははははっーーーーー」
「うううぅぅぅぅ〜うっ、ひっく・・・・・はぁ・・・・くっ・・・・・・いやぁ・・・・あぁん!」
「やめてっ!!!!!」
「何だ、お前?まだ立てるのか??殺されたいのか??まだまだ俺の飢えを満たしてくれんのか??
そうだ、いいことを教えてやろう!俺を含めたサーナイトってのはなぁ、その身体の真ん中のあっけぇ部分が
やられるとなぁ、楽に逝けるらしいぜ!そいやぁ、ポケットっちゅー男もそうやって殺ってあげたかなぁ?」
「そんなっ・・・ポケット・・・」
「あの男がやられてそんなに悲しいか?ならお前も逝かせてやるよ!!ひゃはははは」
「はぁ・・・はぁ・・・・これ以上は・・・あなたの好きにさせないっ!!」
「・・・・・・ふ〜ん、よく見るとお前なかなか可愛いかもなぁ〜、これは甚振り甲斐がありそうだなぁ〜」
「なっ何?・・・・」
「ひゃひゃひゃ!!!今日はこん位でおさらばしてやるよ!少しは飢えたしな」
そういい残し、最後にラティにも刀を向け、身体中に傷を負わせた
「あぁ・・・あぁ・・・いっ、痛っ・・・・キャッ!!うぅ、うぅ・・・ぐっ・・・・・・」
彼女は少しもがき、痛みに耐え切れず、意識を失った



彼が私たちに残した物
それは、外見の怪我でなくて、心に負った癒せない傷だった